再会した幼なじみと、ひとつ屋根の下
心菜母「あっ、二人ともここにいたのね」
心菜の母がリビングへとやって来る。
すると、心菜の耳元に顔を寄せていた颯真が急いで離れる。
心菜母「お母さん今日、先月新しくオープンした水族館のチケットを知り合いの人からもらったんだけど」
母親が、仕事用のバッグからチケットを2枚取り出す。
心菜「わ、凄い。それって、タダ券?!」
心菜母「そうなのよ。ここの水族館、前にここちゃんが行きたいって言ってたところじゃない?」
心菜「うん、言ってた! 行きたい」
目を輝かせる心菜。
心菜母「そうよね。だから……」
心菜の母親が、テーブルにチケットを置く。
心菜母「ここの水族館、颯真くんと二人で行ってきたら?」
心菜(え!?)
心菜母「そのチケットの有効期限が、今週の日曜日までなんだけど。私、週末は仕事があってどうしても行けないから」
母親が、心菜から颯真のほうに視線を移す。
心菜母「だから、颯真くん。悪いけど、心菜と一緒に行ってあげてくれない?」
心菜(いやいやいや。颯真くんって、水族館とか行かなさそうだし。OKするわけが……)
颯真「いいですよ」
心菜「え?」
颯真「水族館、久しぶりに俺も行きたいです。心菜は土曜日がダメなら、日曜日はどう?」
心菜「えっと、うん。日曜だったらいけるよ」
颯真「それじゃあ、日曜日は俺とデートだな。約束」
心菜母「ふふ。良かったわね、ここちゃん。颯真くんに付き合ってもらえて」
心菜(ま、まさか2日連続で男の人とデートすることになるなんて……!)
心菜(私の心臓、もつかな?)