七瀬先生、ここから先は違法です
第三話 七瀬先生は意地悪で甘い
固まっている夏鈴に視線を向けたまま、言葉を続けていく。
七瀬「えー、残念なお知らせがあります。担任の山木先生ですが、体調不良によりしばらくの間休職されます」
みんなは分かりやすく動揺してクラスの空気が乱れて騒ついている。
夏鈴(……私のことみんなの前で言うのかと思って、焦っちゃった。……って、言うわけないか。自意識過剰だったな……)
焦っていた夏鈴は、自分のことではなかったことにホッと胸を撫で下ろす。
七瀬「えー、本気で不本意なんだけど、人手不足により、新しい先生が決まるまでの間、副担任の俺が担任として就くことになりました。尚、やる気は全くありません」
生徒「え!七瀬先生、1年目なのに大丈夫?」
七瀬「いや、無理だろ!校長に『担任なんて無理です』と断ったら、その断りを断られました」
生徒「ギャハハ」
七瀬「みんなの出来ることはただ一つ。親御さんにクレーム入れてもらってくれ」
生徒「俺は、七瀬先生でいいや」
生徒「私も、私も!いっさくんが担任がいい」
七瀬「おい、『一年目の先生に担任なんて任せられない』って親御さんにクレーム入れてもらえよ。俺もその方が助かる」
生徒「大丈夫!うちのママ、七瀬先生のファンだから」
七瀬「お前らだけが頼りなんだよ……勘弁しろよ、担任なんて」
生徒「七瀬先生、担任やりたくないだけじゃん」
七瀬「当たり前だろ、クラス担任なんて、だるすぎ……」
生徒「ギャハハ、正直すぎる」
生徒「七瀬先生、がんばれー!」