若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「……カレン・アーネスト・デュライト。旦那様とともに、ただいま戻りました」
静かにそう言ったカレンの前には、誰もいなかったが。
彼女は、この土地に、この地の人々に。……ジョンズワートに。ただいま、を言ったのである。
カレンの言葉に、ジョンズワートも改めて、ずっと言いたかった言葉を伝える。
「おかえり、カレン」
町の真ん中で、雪の降る中で、二人は微笑み合った。
すれ違い続けた二人。逃げ出した妻と、死亡説が流れても諦めなかった夫の、ただいまと、おかえり。
そんな光景に、ずっと二人を支えてきたチェストリーとアーティは少し涙ぐんで。
……母と実父が今この瞬間を噛みしめていてもおかまいなしなのが、息子のショーンである。
「あっ、ショーン! 勝手に離れちゃダメよ」
初めての土地で息子が迷子にならないよう、手を繋いでいたカレンであったが。
ジョンズワートと見つめ合っているうちに、ショーンにするりと逃げられてしまった。
追いかけようとしたカレンだったが、雪国は4年ぶりで。
転びそうになるカレンをジョンズワートが支え、「僕が行くから待っていて」と言い残し、ショーンの元へ向かった。
子供はすばしっこいものだが、雪国に慣れた成人男性であるジョンズワートの方が何枚も上手。
ショーンはあっという間にジョンズワートに捕獲された。
ショーンを抱き上げ、ジョンズワートは困ったように笑う。
静かにそう言ったカレンの前には、誰もいなかったが。
彼女は、この土地に、この地の人々に。……ジョンズワートに。ただいま、を言ったのである。
カレンの言葉に、ジョンズワートも改めて、ずっと言いたかった言葉を伝える。
「おかえり、カレン」
町の真ん中で、雪の降る中で、二人は微笑み合った。
すれ違い続けた二人。逃げ出した妻と、死亡説が流れても諦めなかった夫の、ただいまと、おかえり。
そんな光景に、ずっと二人を支えてきたチェストリーとアーティは少し涙ぐんで。
……母と実父が今この瞬間を噛みしめていてもおかまいなしなのが、息子のショーンである。
「あっ、ショーン! 勝手に離れちゃダメよ」
初めての土地で息子が迷子にならないよう、手を繋いでいたカレンであったが。
ジョンズワートと見つめ合っているうちに、ショーンにするりと逃げられてしまった。
追いかけようとしたカレンだったが、雪国は4年ぶりで。
転びそうになるカレンをジョンズワートが支え、「僕が行くから待っていて」と言い残し、ショーンの元へ向かった。
子供はすばしっこいものだが、雪国に慣れた成人男性であるジョンズワートの方が何枚も上手。
ショーンはあっという間にジョンズワートに捕獲された。
ショーンを抱き上げ、ジョンズワートは困ったように笑う。