若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「ショーン。急に飛び出したら、母さんが心配するよ。ほら、手を繋ごう。どこに行きたい? 気になるものはある?」
ショーンをおろし、父と息子が手を繋ぐ。
ジョンズワートは、空いてる方の手で色々な方向を指し示した。
だが、ショーンはジョンズワートが指さす方ではなく、実の父のことをじいっと見つめていて。
深い青の瞳には、同じ色を持つ大人の男の姿が映っている。
ここまでの旅路で、なにか思うところがあったのだろうか。
ショーンは、
「……おとう、しゃ?」
と。
一言だが、そう言った。
「……!」
ジョンズワートも、これには驚いた。
ショーンに出会ってから、さほど時間は経っていない。
なのに、もう。父親だと思ってもらえたのだろうか。
本当に、本当に驚いたし、嬉しかったのだ。だからジョンズワートは、ショーンと繋いだ手から、力を抜いてしまった。
そのすきに、ショーンはまた走り出す。
「待ちなさい、ショーン!」
しかしすぐにジョンズワートに捕まって。今度は息子を抱き上げたまま、カレンの元まで連れて行った。
父息子の攻防を少し離れた場所から見ていたカレンは、くすくすと楽しそうに笑っていた。
ショーンがジョンズワートのことを「お父さん」と呼んだのは、驚かせて逃げるためだったのか、それとも、なにかを感じ取ったのか。
それは、ジョンズワートにも、ショーン自身にもわからなかった。
だって、ショーンは。まだ、3歳なのだから。
ショーンをおろし、父と息子が手を繋ぐ。
ジョンズワートは、空いてる方の手で色々な方向を指し示した。
だが、ショーンはジョンズワートが指さす方ではなく、実の父のことをじいっと見つめていて。
深い青の瞳には、同じ色を持つ大人の男の姿が映っている。
ここまでの旅路で、なにか思うところがあったのだろうか。
ショーンは、
「……おとう、しゃ?」
と。
一言だが、そう言った。
「……!」
ジョンズワートも、これには驚いた。
ショーンに出会ってから、さほど時間は経っていない。
なのに、もう。父親だと思ってもらえたのだろうか。
本当に、本当に驚いたし、嬉しかったのだ。だからジョンズワートは、ショーンと繋いだ手から、力を抜いてしまった。
そのすきに、ショーンはまた走り出す。
「待ちなさい、ショーン!」
しかしすぐにジョンズワートに捕まって。今度は息子を抱き上げたまま、カレンの元まで連れて行った。
父息子の攻防を少し離れた場所から見ていたカレンは、くすくすと楽しそうに笑っていた。
ショーンがジョンズワートのことを「お父さん」と呼んだのは、驚かせて逃げるためだったのか、それとも、なにかを感じ取ったのか。
それは、ジョンズワートにも、ショーン自身にもわからなかった。
だって、ショーンは。まだ、3歳なのだから。