若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 ジョンズワートは、今度はショーンと共に砂のトンネルを作り始めた。
 二人で協力して砂の山を作り、ある程度の大きさになったら両側から手を突っ込んで、トンネルを開通させる。
 手の長さの問題があるから、その多くを掘り進めたのはジョンズワートであるが……。
 ショーンの気持ちも考え、息子の速度に合わせてゆっくりと作業をした。
 トンネルが開通したら、その中で手を繋ぐ。
 ショーンとジョンズワートは、嬉しそうに笑いあった。
 そこまでできたら、今度はカレンを呼びに行って。

「おかあしゃ、みてて!」

 ショーンはもう、それは得意げに。
 トンネルに手を突っ込み、ジョンズワートと手を繋いでみせた。
 ちなみにこのとき、ジョンズワートも褒めて褒めてという顔をしていた。
 ――この父息子、同じ顔をしている。
 やはりカレンは吹き出してしまった。
 3歳と27歳なのに、同じ顔をして「みてみて!」してくるのだ。
 親子なんだなあ、と思わせる光景だ。
 息子はともかく、27歳の旦那が、トンネルを作ってはしゃいでいる。
 もう、可愛くて、おかしくて、面白くて。
 それでも大笑いしてしまっては流石に申し訳ないから、軽く笑いが漏れる程度に押さえた。

 笑いが止まらないカレンを、トンネルに手を突っ込んだままのジョンズワートが、不思議そうに見上げる。

「カレン?」
「いえ、二人がとても可愛らしい、から……。ふふっ、ふふふっ」

 そう言われてようやく、ジョンズワートはまたしても幼子と同等にはしゃいでいたことを自覚した。
 やや恥ずかしかったが……。愛する人が楽しそうならそれでいいかと思い、そのまま遊び続けた。
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