若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 なんとかショーンの説得に成功し、ジョンズワートとショーンの二人が浴室に向かった。
 大きな部屋に一人残されて、カレンはふう、と息を吐く。
 今日はなんとか引き下がってくれたが、旅行はまだ続く。
 ショーンは、明日も三人で入りたいと言うだろうか。
 そうなったら、また回避できるのだろうか。
 そんなことを考えて、カレンは、

「どうしよう……」

 と両手で顔を覆い、顔を赤く染めた。

 結婚から4年。3歳の子供がいる夫婦。
 事情が事情だから仕方ないが……。とてもそんな年月が経っているとは思えない、落ち着きのない夫婦であった。

 
 約1週間の旅行中、ショーンが三人で風呂に入りたいと言ったのは、日程の半分ほど。
 そのたび「二人で入ろう!」と押し切って、三人での入浴を回避し続けた。
 

 デュライト公爵邸に戻り、ジョンズワートの夏季休暇も終わる頃。
 新婚じゃないのに新婚の二人は――

「来年は頑張ろう」
「そうですね。来年を目指しましょう」

 と、来年には慣れてたらいいね、三人で入れたらいいね、と意気込んでいた。
 果たして、来年の二人やいかに。
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