若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「っ……! ふ、くくっ……! あはっふふふふっ……!」

 お腹を抱えて笑ってしまった。
 それにつられたのか、ジョンズワートもこらえきれずに吹き出した。
 母と実父の姿を見た、ショーンも。
 三人の笑い声が、公爵邸の庭に響く。
 
「はは、きみは本当に、二人揃ってやられるのに弱いよね」
「だって、よく似てるから、余計に……。おっきいのとちっちゃいので……」

 そこまで言うと、先ほどの光景を思い出したカレンが、また笑いすぎて苦しみだす。
 そう。ジョンズワートとショーンの色は全く同じと言っていいぐらいに似ていて。年齢差があるから顔立ちが同じとはいかないが、ふとしたときに見せる表情もそっくりで。
 そんな二人が、最近では狙ってカレンを笑わせにくるのだ。
 二人揃ってやると効果的だと気が付いたようで、カレンはよくこんな攻撃をくらっている。
 面白くて、幸せで。こんな「攻撃」ならいくらでも受けたいと思えるぐらいだった。
 おかげで、表情筋が痛むほどだ。
 ジョンズワートは、「うまくいったね」とショーンとハイタッチーー位置は低いが――をしている。

 そんな夫と息子の姿を見て、カレンは、ほう、と小さく息を吐く。
 3年も会えなかった二人なのに、もう、他人になんて見えない。
 ああ、幸せだなあ。と、カレンはよく晴れた秋の空を見上げた。
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