若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「っ……! ごめ、ごめんなさい。ワート様。私、あなたのこと、ずっと、傷つけて」
「……カレン。それはお互い様だよ。どちらも悪かったんだ」
ジョンズワートは、そっとカレンを抱き寄せる。
夫の胸で泣く妻と、そんな妻を抱きしめ続ける夫。
しばらく経って落ち着いた頃、ジョンズワートはあらためてカレンに向き直った。
「カレン。もう一度、受け取ってくれるかな」
「……はい! もう二度と、離したりしません」
結婚から逃亡までの、短い期間に贈られたそれは、数年の時を経て、再びジョンズワートからカレンに手渡された。
もう離さないと言って微笑む彼女の頬には、涙のあとが残っていた。
諦めないでいてくれたこと。今も愛してくれること。
あなたの想いも、今までのことも、間違えたことも。
もう一度、やり直せたことも。
……この先も。
全部全部、胸に抱いて。あなたの隣で生きていく。
「ワート様。……ありがとう。ありがとう、ございます」
彼に伝えたいことは、もっともっとたくさんあるはずなのに。
ありがとう、と口にするだけで、精一杯だった。
「……カレン。それはお互い様だよ。どちらも悪かったんだ」
ジョンズワートは、そっとカレンを抱き寄せる。
夫の胸で泣く妻と、そんな妻を抱きしめ続ける夫。
しばらく経って落ち着いた頃、ジョンズワートはあらためてカレンに向き直った。
「カレン。もう一度、受け取ってくれるかな」
「……はい! もう二度と、離したりしません」
結婚から逃亡までの、短い期間に贈られたそれは、数年の時を経て、再びジョンズワートからカレンに手渡された。
もう離さないと言って微笑む彼女の頬には、涙のあとが残っていた。
諦めないでいてくれたこと。今も愛してくれること。
あなたの想いも、今までのことも、間違えたことも。
もう一度、やり直せたことも。
……この先も。
全部全部、胸に抱いて。あなたの隣で生きていく。
「ワート様。……ありがとう。ありがとう、ございます」
彼に伝えたいことは、もっともっとたくさんあるはずなのに。
ありがとう、と口にするだけで、精一杯だった。