若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
ちなみに、贈りものをいれるためのカゴや、休憩用の飲み物もジョンズワートが運んでいる。
今日の公爵様は、息子の荷物持ちだった。
使用人に任せ、自分は手ぶらにすることもできるが、少しでも父親らしいことがしたかった。
流石に全ての荷物を持つことはできなかったため、追加の飲み物やおやつは使用人に持たせてある。
まだまだ張り切るショーン。
休憩を挟みながらも、彼らはデュライト公爵邸の庭の端に近い場所まで到達した。
ジョンズワートが抱き上げてしまえばもっと早く移動できたが、ショーンはそれを拒否した。
自分の足で歩き、周囲を見回して、母への贈り物を探したかったのだ。
木々の間を通ったり、地面に落ちた木の実を吟味したりもしたため、ショーンの服は汚れ、髪も少々乱れている。
そんな、満身創痍にも見えるショーンの青い瞳を釘付けにしたのは、赤い木の実。
ショーンは、この木の実を食卓で見たことがあった。
――食べられる、のでは?
まだ幼いながらに、ショーンはそう感じ取り、じっと木の実を見つめた。
「ショーン、木苺が気になるのかい?」
「わとしゃ、これ、たべれる?」
「そのはずだけど……。一応、確認してみようか」
ジョンズワートは使用人に声をかけ、庭師を呼び出す。
ちょうど近くにいたようで、庭師はすぐにやってきた。
「こちらの木の実は、食べることができますよ。そのまま生食もできますし、タルトやケーキ、ジャムにしても美味しくいただけます。葉もハーブティーとして活用できます」
「タルト、ケーキ?」
ショーンの言葉に、庭師は優しい表情で頷く。
「ええ」
「はっぱは……? えっと……」
「ハーブティー。お茶にすることができます」
「おちゃ……!」
ショーンの深い青色の瞳がぱあっと輝いた。
「わとしゃ! これ、タルトとおちゃにする!」
今日の公爵様は、息子の荷物持ちだった。
使用人に任せ、自分は手ぶらにすることもできるが、少しでも父親らしいことがしたかった。
流石に全ての荷物を持つことはできなかったため、追加の飲み物やおやつは使用人に持たせてある。
まだまだ張り切るショーン。
休憩を挟みながらも、彼らはデュライト公爵邸の庭の端に近い場所まで到達した。
ジョンズワートが抱き上げてしまえばもっと早く移動できたが、ショーンはそれを拒否した。
自分の足で歩き、周囲を見回して、母への贈り物を探したかったのだ。
木々の間を通ったり、地面に落ちた木の実を吟味したりもしたため、ショーンの服は汚れ、髪も少々乱れている。
そんな、満身創痍にも見えるショーンの青い瞳を釘付けにしたのは、赤い木の実。
ショーンは、この木の実を食卓で見たことがあった。
――食べられる、のでは?
まだ幼いながらに、ショーンはそう感じ取り、じっと木の実を見つめた。
「ショーン、木苺が気になるのかい?」
「わとしゃ、これ、たべれる?」
「そのはずだけど……。一応、確認してみようか」
ジョンズワートは使用人に声をかけ、庭師を呼び出す。
ちょうど近くにいたようで、庭師はすぐにやってきた。
「こちらの木の実は、食べることができますよ。そのまま生食もできますし、タルトやケーキ、ジャムにしても美味しくいただけます。葉もハーブティーとして活用できます」
「タルト、ケーキ?」
ショーンの言葉に、庭師は優しい表情で頷く。
「ええ」
「はっぱは……? えっと……」
「ハーブティー。お茶にすることができます」
「おちゃ……!」
ショーンの深い青色の瞳がぱあっと輝いた。
「わとしゃ! これ、タルトとおちゃにする!」