若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

ジェラシーと、大好きなお父さん

 カレンとジョンズワートの再会、父と息子の初めての出会いから、数年が経ったころ。

 デュライト公爵邸に、ほぎゃあ、ほぎゃあ、と元気な産声が響く。
 雪国ホーネージュが新たな春を迎えようとしていたころ、カレンとジョンズワートの第二子が誕生した。
 二人目の子は、カレンに似た髪色に、父から受け継いだ青い瞳の女の子。
 第一子のショーンのように、どう見ても父親似、というよりは、両親どちらの要素も感じられる女の子だった。

 色々あって、ショーンの誕生には立ち会えず、息子に会うまでに3年を要したジョンズワート。
 生まれたばかりの我が子の姿を見るのは、今回が初めてで。
 ジョンズワートは、それはもう娘にメロメロだった。
 主に世話をするのは乳母だが、ジョンズワートは休憩時間のたびにまだ幼い我が子の様子を見に来る。
 小さな手に、自分の指をのせて。きゅ、と握られるとデレデレと破顔した。

 父と娘の微笑ましい光景ではあるのだが――それを、面白く思わない者もいた。
 誰って、ジョンズワートの長男・ショーンである。
 このころには、ショーンも公爵邸での暮らしに慣れ、ジョンズワートを父と呼ぶようになっていた。
 初めて会ったときからここまで、自分につきっきりだった父が、妹に取られてしまった。
 長男のショーン。妹にアイドルの座を奪われ、完全にジェラっていた。
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