若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 カレン12歳。ジョンズワート15歳。
 このときには、カレンもジョンズワートへの恋心を自覚していた。
 カレンはアーネスト伯爵家の長女だが、兄がいる。
 いつかはどこかの貴族と婚約し、嫁ぐことになるだろう。
 結婚する時が来るのなら――相手はジョンズワートがいいと、密かに願っていた。
 互いに口にはしなかったが、ジョンズワートもそれは同じで。結婚するならカレンがいいと思っていた。

 好きだ、結婚したい、と言わなかっただけで、二人は確かに両想いだったのだ。
 両家の親も二人の気持ちを感じ取っており、このまま仲の良い夫婦になってくれればいいと思っていた。
 家族だけではない。カレンの従者であるチェストリー、ジョンズワートの部下で親友のアーティ。その他、周囲の人々。
 皆が、二人の幸せな未来を描いていた。

 しかし、あることをきっかけに、二人は疎遠になってしまった。
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