若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
3章
ジョンズワートの元から逃げたカレンは、母国からいくつか国境を越えた先、ラントシャフト共和国の農村に身を寄せていた。
素性もよくわからない、よそもののカレンたちを、村の人々は温かく受け入れてくれた。
おかげで、カレンたちは大きなトラブルもなく、安心して生活できている。
カレンとチェストリーの人柄や容姿が人々をそうさせたのだが――カレンがそれに気が付いているのかどうかは、定かではない。
ともかく、カレンは冬の長い母国・ホーネージュを離れ、緑豊かなラントシャフトで息子とともに幸せに暮らしていた。
「みて、おかーしゃ」
「なあに?」
丘の上にたつ、小さな家の前。
さらさらのクリーミーブロンドに、深い青の瞳をした幼子が、母親に駆け寄った。
家の近くで拾った木の実を、母に見せようとしているのである。
カレンは息子に合わせてしゃがみ、「まあ」と微笑んでみせた。
まだ幼い息子の頭を撫でれば、えへへ、と笑って母の手を受け入れた。
ジョンズワートの息子でもあるショーンは3歳となり、最近では、見た目も行動もますます父親に似てきた。
身体の弱いカレンを気遣ってのことではあったが、ジョンズワートも、よくこうして木の実や花を見せてくれたものだ。
素性もよくわからない、よそもののカレンたちを、村の人々は温かく受け入れてくれた。
おかげで、カレンたちは大きなトラブルもなく、安心して生活できている。
カレンとチェストリーの人柄や容姿が人々をそうさせたのだが――カレンがそれに気が付いているのかどうかは、定かではない。
ともかく、カレンは冬の長い母国・ホーネージュを離れ、緑豊かなラントシャフトで息子とともに幸せに暮らしていた。
「みて、おかーしゃ」
「なあに?」
丘の上にたつ、小さな家の前。
さらさらのクリーミーブロンドに、深い青の瞳をした幼子が、母親に駆け寄った。
家の近くで拾った木の実を、母に見せようとしているのである。
カレンは息子に合わせてしゃがみ、「まあ」と微笑んでみせた。
まだ幼い息子の頭を撫でれば、えへへ、と笑って母の手を受け入れた。
ジョンズワートの息子でもあるショーンは3歳となり、最近では、見た目も行動もますます父親に似てきた。
身体の弱いカレンを気遣ってのことではあったが、ジョンズワートも、よくこうして木の実や花を見せてくれたものだ。