若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
カレンとチェストリーの失踪から約4年。
27歳も近いジョンズワートは、今も愛する人を探し続けていた。
とはいえ、彼も公爵様。それだけに専念することはできず。
通常の仕事と並行し、人を使いながら、カレンを捜索していた。
ジョンズワートは、仕事の合間に、窓から広がる一面の銀世界を見つめる。
しんしんと降り続ける雪は、この国で生まれ育ったジョンズワートには見慣れたもので。
雪の厄介さもよく知っているが、この光景を見ていると、なんだか懐かしい気持ちになるのだ。
身体の弱かったカレンは、冬は特に、ベッドにいることが多かった。
可愛いカレンに、少しでも笑って欲しかったから、冬季には、彼女に会いに行く頻度が上がった。整備されているとはいえ、雪道を進むのは大変であるにも関わらずだ。
だからジョンズワートは、雪を見るとカレンのことを思い出す。
ホーネージュは冬の長い国であるから、1年の半分近くは幼き頃の記憶に想いを馳せている状態である。
「カレン……」
彼女は、きっと今もどこかで生きている。
死亡説も流れたが、雪がとけてもカレンとチェストリーを発見することはできなかった。
それどころか、カレンをさらったとされる賊も、馬車を動かしていたはずの馬も、雪の下から出てこないのだ。
発見されたのは、ジョンズワートが彼女に贈ったアクセサリーのみ。
あれは、カレンが死亡したと見せかけるための工作なのではないかと、ジョンズワートは考え始めていた。
そして、その考えが正しければ――カレンは亡くなってはいないのだ。
たが、その先でどんな目に遭っているのかまでは、わからない。
カレンもチェストリーもとても見目がいいから、色々な可能性が考えられる。
命はあったとしても、早く見つけ出す必要があるのは、確かだった。
「カレン。絶対に、きみを見つけてみせる」
つう、と窓に手を滑らせ、ジョンズワートがもう何度目かもわからない決意をしたときだった。
27歳も近いジョンズワートは、今も愛する人を探し続けていた。
とはいえ、彼も公爵様。それだけに専念することはできず。
通常の仕事と並行し、人を使いながら、カレンを捜索していた。
ジョンズワートは、仕事の合間に、窓から広がる一面の銀世界を見つめる。
しんしんと降り続ける雪は、この国で生まれ育ったジョンズワートには見慣れたもので。
雪の厄介さもよく知っているが、この光景を見ていると、なんだか懐かしい気持ちになるのだ。
身体の弱かったカレンは、冬は特に、ベッドにいることが多かった。
可愛いカレンに、少しでも笑って欲しかったから、冬季には、彼女に会いに行く頻度が上がった。整備されているとはいえ、雪道を進むのは大変であるにも関わらずだ。
だからジョンズワートは、雪を見るとカレンのことを思い出す。
ホーネージュは冬の長い国であるから、1年の半分近くは幼き頃の記憶に想いを馳せている状態である。
「カレン……」
彼女は、きっと今もどこかで生きている。
死亡説も流れたが、雪がとけてもカレンとチェストリーを発見することはできなかった。
それどころか、カレンをさらったとされる賊も、馬車を動かしていたはずの馬も、雪の下から出てこないのだ。
発見されたのは、ジョンズワートが彼女に贈ったアクセサリーのみ。
あれは、カレンが死亡したと見せかけるための工作なのではないかと、ジョンズワートは考え始めていた。
そして、その考えが正しければ――カレンは亡くなってはいないのだ。
たが、その先でどんな目に遭っているのかまでは、わからない。
カレンもチェストリーもとても見目がいいから、色々な可能性が考えられる。
命はあったとしても、早く見つけ出す必要があるのは、確かだった。
「カレン。絶対に、きみを見つけてみせる」
つう、と窓に手を滑らせ、ジョンズワートがもう何度目かもわからない決意をしたときだった。