若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「旦那様。また相手を聞きもせず、再婚の話を断ったんですって?」
「サラ……。アーティから聞いたのか?」
「断るにしても、少し目を通すぐらいはしてもいいのではありませんか?」
まったくもう、とでも言いたげなサラから、ジョンズワートは気まずげに目を逸らした。
十中八九、情報源はアーティだろう。
この同い年三人の付き合いも、もうずいぶん長くなる。
アーティは年齢が十に満たない頃から。サラは、ジョンズワートが10代半ばの頃からの付き合いだ。
立場の差はあれど、近しい間柄だった。
しかし、彼らの間に恋愛感情は存在していない。
ジョンズワートも、アーティも、サラとは兄妹のような感覚だ。
ちなみに、彼らはそれぞれ、自分が兄・姉のポジションだと思っている。
「きみこそどうなんだ? 僕と同い年なんだから、そろそろ結婚を考えてもいいんじゃないか」
「こんな状態の主人を放って結婚なんてできませんわ。お可哀相で」
「きみなあ……」
ジョンズワートは、はあ、とわざとらしくため息をついた。
恋愛感情でないというだけで、ジョンズワートにとって、サラが大事な人であることには違いない。
これでもジョンズワートは、真剣にサラのことを心配しているのだ。
サラは世話焼きなタイプで、父を亡くしたジョンズワートを懸命に支えてくれた。
今だって、妻を探し続けるジョンズワートに付き合い、デュライト公爵家に仕え続けている。
ジョンズワートがカレンを見つけるまで、自分は結婚しないとまで言うのだ。
結婚すれば、そのまま退職する可能性もあるからだろう。
彼女は、妻を探すジョンズワートの力になり続けるつもりなのだ。
サラがそういう人だと知っていたから、ジョンズワートは彼女をカレンの侍女にしたのである。
傷をつけた責任を理由に無理やり結婚させられたカレンを、サラならば、支えてくれる。そう思って。
実際、サラとカレンの仲は良好であるように思えた。
ジョンズワートがあんなミスをしなければ、カレンが誘拐されることもなかったし、サラだって結婚もせずデュライト家に残ることもなかっただろう。
二人の女性の人生を壊してしまったような。そんな気分だった。
「サラ……。アーティから聞いたのか?」
「断るにしても、少し目を通すぐらいはしてもいいのではありませんか?」
まったくもう、とでも言いたげなサラから、ジョンズワートは気まずげに目を逸らした。
十中八九、情報源はアーティだろう。
この同い年三人の付き合いも、もうずいぶん長くなる。
アーティは年齢が十に満たない頃から。サラは、ジョンズワートが10代半ばの頃からの付き合いだ。
立場の差はあれど、近しい間柄だった。
しかし、彼らの間に恋愛感情は存在していない。
ジョンズワートも、アーティも、サラとは兄妹のような感覚だ。
ちなみに、彼らはそれぞれ、自分が兄・姉のポジションだと思っている。
「きみこそどうなんだ? 僕と同い年なんだから、そろそろ結婚を考えてもいいんじゃないか」
「こんな状態の主人を放って結婚なんてできませんわ。お可哀相で」
「きみなあ……」
ジョンズワートは、はあ、とわざとらしくため息をついた。
恋愛感情でないというだけで、ジョンズワートにとって、サラが大事な人であることには違いない。
これでもジョンズワートは、真剣にサラのことを心配しているのだ。
サラは世話焼きなタイプで、父を亡くしたジョンズワートを懸命に支えてくれた。
今だって、妻を探し続けるジョンズワートに付き合い、デュライト公爵家に仕え続けている。
ジョンズワートがカレンを見つけるまで、自分は結婚しないとまで言うのだ。
結婚すれば、そのまま退職する可能性もあるからだろう。
彼女は、妻を探すジョンズワートの力になり続けるつもりなのだ。
サラがそういう人だと知っていたから、ジョンズワートは彼女をカレンの侍女にしたのである。
傷をつけた責任を理由に無理やり結婚させられたカレンを、サラならば、支えてくれる。そう思って。
実際、サラとカレンの仲は良好であるように思えた。
ジョンズワートがあんなミスをしなければ、カレンが誘拐されることもなかったし、サラだって結婚もせずデュライト家に残ることもなかっただろう。
二人の女性の人生を壊してしまったような。そんな気分だった。