若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 アーティはジョンズワートに再婚の話を持ってくるが、立場上仕方なくのこと。
 相手にもよるが、主人になんの報告もせず勝手に断るわけにはいかない。
 本人はカレンを探すジョンズワートを応援しているし、協力もしてくれている。

 サラだって同じだ。
 さきほどジョンズワートをつついてきたが、再婚しろと言っているわけではない。
 早くカレンが見つかるよう祈り、アーティと同じく、可能な限り捜索に協力している。
 そうでなければ、カレンが見つかるまで結婚しないなんてこと、言わないだろう。
 

 ジョンズワートは、何年かかってもカレンを諦めるつもりはなかった。

 そんな彼の想いが届いたのだろうか。
 ある日、カレンの捜索を続けるデュライト公爵家に、1通の手紙が届いた。
 差出人は不明。通常なら、そんなものが公爵の元まで届くことはないのだが――。
 内容が内容だったから、ジョンズワートに渡された。
 そこには、どこか見覚えのある字で、カレンが無事であることと、彼女の居場所がつづられていた。
 最後の一文には、今も彼女を想っているなら、早く来いとも。
 ジョンズワートをおびき出そうとしている。ただのいたずら。そう考えることもできたし、実際、嘘の情報を掴まされたこともある。
 けど、何故か。この手紙は信頼に値すると思えた。
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