【短編】叶うなら、もう一度あなたに会いたい〜不思議な縁〜
それは不思議なお店
どんよりと重たい空色。
梅雨入り目前の六月、もうじき雨が降りそうだ。
高校からの帰り道。
あいにくと今日は傘を持っていないため、早く帰ろうと足をはやめたとき。
「あれ……こんな所にお店あったっけ?」
私はとある古びた看板を発見した。
力強い達筆な筆跡とは裏腹に、《あなたの恋の相談、お聞きします》と書いてある。
「……恋の相談?」
いつも通っているはずの道。
なのに見慣れない、昔ながらの喫茶店のような扉と先ほどの看板があり私は興味を惹かれた。
ここの道は夜になると、バーや居酒屋などが営業していて今の時間帯ではまだ開いていないお店が多く、人もまばらだ。
いつ出来たんだろう?
中はどうなっているのかな……?
ちょっとした好奇心。
扉の取っ手に手をかけ、私はお店の中へ足を踏み入れた。
「わぁ……」
店内は想像していたより狭く、奥に向かう形で縦長だ。薄暗く、お香のような物が焚かれているのかいい匂いが充満している。
恋の相談と言うからにはもっと、椅子と机とパーテーションがある、相談室のような内装を思い浮かべていた私は驚いた。
「あ。これ、フランス人形? こっちは……猿の置物?」
店内には沢山の棚が均等に置かれていたが、棚には無造作に様々な物が置かれている。
私は人ひとりがやっと通れるくらいの棚の間を進んでいく。
「あっ!」
持っていた鞄が、棚に置いてある何かに当たってしまったのかころんっと物が転がる音がした。
「っ! ──傷はついて……ない。良かったぁ」
素早く拾い上げて傷がないかを確認する。
どうやら落としてしまったのは、スノードームのような物らしい。
ドームの中には、葉がすべて落ちてしまっている木が入っていて、なんとも寒々しい光景だ。
「これ……、何の木だろう?」
よく観察してみてもわからなかったため、棚に戻そうと顔を上げると目の前に誰かが立っていた。
「──どうした、お客人」
梅雨入り目前の六月、もうじき雨が降りそうだ。
高校からの帰り道。
あいにくと今日は傘を持っていないため、早く帰ろうと足をはやめたとき。
「あれ……こんな所にお店あったっけ?」
私はとある古びた看板を発見した。
力強い達筆な筆跡とは裏腹に、《あなたの恋の相談、お聞きします》と書いてある。
「……恋の相談?」
いつも通っているはずの道。
なのに見慣れない、昔ながらの喫茶店のような扉と先ほどの看板があり私は興味を惹かれた。
ここの道は夜になると、バーや居酒屋などが営業していて今の時間帯ではまだ開いていないお店が多く、人もまばらだ。
いつ出来たんだろう?
中はどうなっているのかな……?
ちょっとした好奇心。
扉の取っ手に手をかけ、私はお店の中へ足を踏み入れた。
「わぁ……」
店内は想像していたより狭く、奥に向かう形で縦長だ。薄暗く、お香のような物が焚かれているのかいい匂いが充満している。
恋の相談と言うからにはもっと、椅子と机とパーテーションがある、相談室のような内装を思い浮かべていた私は驚いた。
「あ。これ、フランス人形? こっちは……猿の置物?」
店内には沢山の棚が均等に置かれていたが、棚には無造作に様々な物が置かれている。
私は人ひとりがやっと通れるくらいの棚の間を進んでいく。
「あっ!」
持っていた鞄が、棚に置いてある何かに当たってしまったのかころんっと物が転がる音がした。
「っ! ──傷はついて……ない。良かったぁ」
素早く拾い上げて傷がないかを確認する。
どうやら落としてしまったのは、スノードームのような物らしい。
ドームの中には、葉がすべて落ちてしまっている木が入っていて、なんとも寒々しい光景だ。
「これ……、何の木だろう?」
よく観察してみてもわからなかったため、棚に戻そうと顔を上げると目の前に誰かが立っていた。
「──どうした、お客人」
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