【短編】叶うなら、もう一度あなたに会いたい〜不思議な縁〜
 あれ……、後ろの人は誰だろう?
 店主さんと一緒に、もう一人部屋に入ってきた。
 その人物はまた私と同じ学校の制服だった。
 校章の色を見ると、田崎さんと同じ色をしている。
 田崎さんは顔色をかえて、慌てたように椅子から立ち上がった。

「青木くん!?」
「田崎さん……、どうしてここにっ?」
 
 その人物はどうやら田崎さんの想い人、「青木くん」らしい。
 でもどうして、このタイミングでここにやってきたんだろう? 
 出来すぎている、と感じた。
 店主さんは部屋にいる私達をぐるりと見渡す。
 田崎さんと青山さんの顔を見た後、私を見てなぜか目を細めていたけれど。

「よし、役者は揃ったな。お前も男なら正直に話すことだ。なぜ彼女を避けていたかを」
「そ、それは……!」

 店主さんにそう促されて、口籠ってしまった青木さん。
 そんな彼を見て、田崎さんは意を決したように詰め寄る。

「ねぇ青木くん! ……なんで、最近私を避けていたの?」

 田崎さんの声はわずかに震えていた。
 青木さんも震えに気づいたのか、眉を下げて申し訳なさそうに口を開く。

「…………た、誕生日、プレゼント」
「え?」
「田崎さん、もうすぐ誕生日だって言ってただろう? だから、プレゼントを渡そうと思って……」

 ──青木さんの話を要約すると。
 田崎さんの誕生日が近いことを知り、サプライズでプレゼントを用意しようとしたが、何がいいかわからずとても悩んでいたとのこと。
 そして田崎さんを前にすると、つい何が欲しいか聞いてしまいそうになる自分が嫌で、避けていたらしい。

『──プレゼントを渡す時に、君に告白しようと思っていた』

 青木さんから最後に発せられた言葉を聞いた田崎さんは、顔を赤くさせて涙を浮かべた。
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