新そよ風に乗って 〜憧憬〜
「部長以上は、1人部屋だろう? それを除いたとして……あとの人達は各担当内で決めてもらう?」
「うん。それがいいかもしれない。社内旅行じゃないし、行く人ももう分かっているから、各担当内で任せちゃった方が文句も出なくていいかもしれないね」
良かれと思ってこちらで組んだりすると、必ずあちらこちらから文句が出てくる。
そうなるより、納得出来るように各担当内で決めてもらうのがベストだから、部屋数だけ伝えて後は各担当で割り振ってもらうというのが最近の傾向だった。
去年、私は1人部屋でラッキーだったのだが、もし数合わせで半端になると他の担当の誰かと一緒の部屋になるかもしれない。
「小黒部長は、やっぱり煩い黒沢さんがまたいろいろ言いそうだからな。名倉部長が1番奥の部屋だし、その隣にしておけば文句は出ないと思うよ」
「そうだね」
「あと、末吉課長はどうするかなぁ。うーん……小黒部長と仲が悪いから反対の角でいいか」
「角だと2人部屋だから、その隣でしょう?」
「あっ。そうか! そうだな。それで、その隣は高橋さんで」
高橋さん。
高橋さんの名前を聞いただけなのに、反応してドキドキしてしまう。
「その隣は……じゃあ、分かりやすいように、矢島さんでいい?」
「えっ? わ、私?」
高橋さんの隣の部屋が、私?
「何か、問題ある?」
「えっ? あっ……だ、大丈夫だよ」
馬鹿みたい。
ただ高橋さんと隣の部屋になったというだけで、こんなにドキドキするなんて。
けれど、それから佐藤君が決めていく部屋割りの話に、あまり集中出来ずに高橋さんのことを考えていた。
部屋割りをひと通り決めて、最後に各担当の部屋数を割り振って今日の予定がすべて終了したのでホッとして、改めて佐藤君と乾杯をして生ビールを飲んだ。
「矢島さんって、彼氏居るの?」
「えっ?」
いきなり聞かれ、驚いてお箸で摘んでいた川海老の唐揚げを取り皿の上に落としてしまった。
「急に、聞いたりしてまずかった? ちょっと気になったから」
「何で?」
どうして、気になるんだろう?
「うん。それがいいかもしれない。社内旅行じゃないし、行く人ももう分かっているから、各担当内で任せちゃった方が文句も出なくていいかもしれないね」
良かれと思ってこちらで組んだりすると、必ずあちらこちらから文句が出てくる。
そうなるより、納得出来るように各担当内で決めてもらうのがベストだから、部屋数だけ伝えて後は各担当で割り振ってもらうというのが最近の傾向だった。
去年、私は1人部屋でラッキーだったのだが、もし数合わせで半端になると他の担当の誰かと一緒の部屋になるかもしれない。
「小黒部長は、やっぱり煩い黒沢さんがまたいろいろ言いそうだからな。名倉部長が1番奥の部屋だし、その隣にしておけば文句は出ないと思うよ」
「そうだね」
「あと、末吉課長はどうするかなぁ。うーん……小黒部長と仲が悪いから反対の角でいいか」
「角だと2人部屋だから、その隣でしょう?」
「あっ。そうか! そうだな。それで、その隣は高橋さんで」
高橋さん。
高橋さんの名前を聞いただけなのに、反応してドキドキしてしまう。
「その隣は……じゃあ、分かりやすいように、矢島さんでいい?」
「えっ? わ、私?」
高橋さんの隣の部屋が、私?
「何か、問題ある?」
「えっ? あっ……だ、大丈夫だよ」
馬鹿みたい。
ただ高橋さんと隣の部屋になったというだけで、こんなにドキドキするなんて。
けれど、それから佐藤君が決めていく部屋割りの話に、あまり集中出来ずに高橋さんのことを考えていた。
部屋割りをひと通り決めて、最後に各担当の部屋数を割り振って今日の予定がすべて終了したのでホッとして、改めて佐藤君と乾杯をして生ビールを飲んだ。
「矢島さんって、彼氏居るの?」
「えっ?」
いきなり聞かれ、驚いてお箸で摘んでいた川海老の唐揚げを取り皿の上に落としてしまった。
「急に、聞いたりしてまずかった? ちょっと気になったから」
「何で?」
どうして、気になるんだろう?