新そよ風に乗って 〜憧憬〜
すると、後ろから佐藤君が追いかけてきた。
思わず小走りになって自分の席へ戻ろうしながら、見えてきた会計の席を確認すると、もう誰も居ない。
咄嗟に、一縷の望みを高橋さんに託していたのだが、その高橋さんの席も空っぽだった。
こんな時でも高橋さんを頼りにしてしまうなんて、都合が良すぎるよね。
席に戻って、慌ててバッグ取りだそうとしているところに佐藤君が来てしまった。
「ちゃんと、説明してくれる? 俺、そうでないと納得出来ないんだ。もし、矢島さんが高橋さんと付き合っているんだったら、俺は潔く身を引くけど……そうじゃないんだったら、俺にも望みがあるわけじゃん? それに、矢島さんがこの前言ってた片思いの相手がもし高橋さんなんだったら付き合ってないわけだし……」
「佐藤君……」
いったい、この人は何を言っているんだろう?
そんなことを急に言われても、高橋さんとは付き合ってないとしか言えない。
でも、私は高橋さんが好きで……。
「悪いけど、旅行の打ち合わせと関係ないことは……」
ああ、早く帰りたい。
もう、佐藤君と話したくない。
「ちゃんと、真面目に応えてくれる?」
佐藤君が1歩前に出てきたので、慌てて1歩後ろに下がった。
どうしよう。
もしかして、応えるまで帰してもらえないの?
事務所を出るには、立ちはだかっている佐藤君をかわして行かなければならないし、どうしたらいいの?
考え倦ねて、誰もいない事務所の中で佐藤君と押し問答をしたまま膠着状態が続いていた。
「何をしてるんだ?」
あっ……。
思わず小走りになって自分の席へ戻ろうしながら、見えてきた会計の席を確認すると、もう誰も居ない。
咄嗟に、一縷の望みを高橋さんに託していたのだが、その高橋さんの席も空っぽだった。
こんな時でも高橋さんを頼りにしてしまうなんて、都合が良すぎるよね。
席に戻って、慌ててバッグ取りだそうとしているところに佐藤君が来てしまった。
「ちゃんと、説明してくれる? 俺、そうでないと納得出来ないんだ。もし、矢島さんが高橋さんと付き合っているんだったら、俺は潔く身を引くけど……そうじゃないんだったら、俺にも望みがあるわけじゃん? それに、矢島さんがこの前言ってた片思いの相手がもし高橋さんなんだったら付き合ってないわけだし……」
「佐藤君……」
いったい、この人は何を言っているんだろう?
そんなことを急に言われても、高橋さんとは付き合ってないとしか言えない。
でも、私は高橋さんが好きで……。
「悪いけど、旅行の打ち合わせと関係ないことは……」
ああ、早く帰りたい。
もう、佐藤君と話したくない。
「ちゃんと、真面目に応えてくれる?」
佐藤君が1歩前に出てきたので、慌てて1歩後ろに下がった。
どうしよう。
もしかして、応えるまで帰してもらえないの?
事務所を出るには、立ちはだかっている佐藤君をかわして行かなければならないし、どうしたらいいの?
考え倦ねて、誰もいない事務所の中で佐藤君と押し問答をしたまま膠着状態が続いていた。
「何をしてるんだ?」
あっ……。