胡蝶ミラへのエクスプレス
九十分、教授の話を聞きながら、時折メモを取る。
大学に入学したての頃は、この九十分授業が気が遠くなる程長かった。
高校は進学校で勉強は結構きつかったのだが、それと同じくらい授業の拘束時間が長いと、こんなにきついとは。
まぁその分高校と違って、内容を聞き流すようにもなったのだが。
ふとした時に、眼下前方の席でスマホが光り、誰かが机の下で黙って触っているようだった。
あぁ、ジロウか。
いつもあんまりやる気がなくて、なんとなーくテキトーなジロウは隣の越智君にスマホの画面を共有しようとしたが、越智君はジロウに何か言って前を向く。