胡蝶ミラへのエクスプレス
心の距離が近づいた気がする森高さんと、のんびり大学の北門まで来ると、ポンッと急に色味の違う現実に呼び戻されたような気がした。
いつもの自分と。
いつもの森高さんに戻るのかな。
また、森高さんはニコニコするんだろうなと思って様子を見ていると、一緒に講義室に入ってすぐ、男友達にくだらない話を振られて、やはりすんなり楽しそうに笑った。
それ、違うよね。
違うって思った自分は、先程の楽しさに一人だけ置いていかれたのに自惚れてる?
「もうここちゃん、聞いてよ。あいつがさ……」
ハハハッて楽しそうに笑う森高さんは、流れで俺にも同じ顔で笑いかけてきた。
あたかも本当に、楽しんでいるかのような、大きな笑顔で。