胡蝶ミラへのエクスプレス
第二章 『出会っていたから、その後に』
~森高 心~
十月も中旬を超えて、日中はまだ暑い日もあるが朝晩はひんやりしている。
越智君の住むアパートで、美味しいすき焼きを食べて丸一週間、あの時、美味しいグルメを二人で頂きながら、酷い幸福感と楽しさを感じていた。
あの数時間、充実したひと時を過ごしたのは、自分だけではないと思っていた。
でも、あっけなく日常の戻り、越智君とも大して会話をしていない。
今日も笑いながら、時折スン……っと話を聞き流して、越智君はバイトがあるからと出て行って、同じタイミングで自分もバイトのシフトが入っていたため講義室を出たのだが、隣に並ぶのもな……と思い、ある程度距離を取りながら後ろを歩く。