胡蝶ミラへのエクスプレス
しかし、越智君はあさなみたいに歩くスピードが速いから、普通に歩いているとどんどん距離が離れてゆく。
高梨先輩とのことがあってから、異性に対して警戒している自分がいたのに、どうにもスルリと狭いはずの道を突き抜けてきた越智君は、何とも不思議な存在であった。
彼が安全な保障などないはずなのに、距離が近づくとサッと避けるように離れる様子を見て、この人は……と思った部分があったし、事実美味しい物を食べた上に、のんびり休憩までしてアパートを出た。
でも居心地がよく笑い合った後から、また大して話さなくなってしまった。