胡蝶ミラへのエクスプレス
正直、もっと一緒にいれたら良かった。楽しい時間は悲しいくらい、すぐに終わってしまう。
あと十五回寝たら……から始まって、カウントダウンをしながら近づく日程を数えながらワクワクしていたのに、もう終わってしまったのだ。
帰りの車内、森高さんは楽しそうに話をしてくれるが、全く同じテンションではいられない。
いつものように話すものの、見知った街並みに入ってきて、ついには大学近くの交差点を左折して遮断機の下りていない踏切を通り越すと、どよーん……っとなってしまいそうだった。
そして大学を通り越して三十秒もかからないうちに、アパートの前まで来てしまった。一旦森高さんは敷地の駐車場に入ってくれたのだが、別れることには変わりない。