胡蝶ミラへのエクスプレス
第四章 『気づけば見ていて、好きだった』
~越智 拓磨~
一年間の最後である十二月に入り、いつもの日常がスタートする月曜日。
一限スタートのため、朝厚着をして大学の北門から入ると、五号館を目指しスタスタ歩いて行く。なんかホント、ちょっとした夢から覚めて元に戻った感じ。
講義室で森高さんと会っても、そりゃ二人の時のように近く話すこともないだろうし、好きだって気持ちを自覚してからは、尚更フレンドリーに近づけなくなってしまった。
誰もいないならばすぐに声をかけるのに、森高さんはいつも楽しそうに周りの人に囲まれながら話をしているし、自らその輪に飛び込めない。もどかしくあるのに、そういうのが校内では当たり前の風景であるのだ。