ハニー メイド ヘヴン
気が付けば意識が宙を漂ってる感覚。目は開いてるはずだけど、ぼんやりして周りがよく見えない。

『・・・最善は尽くしますが、お母さんは本当によく頑張ってこられたと思います』

耳が唐突に拾った。

堅くて神経質そうなこの喋り方は、事故で生死を彷徨ったあたしを生かしてくれた担当医の先生だ。

『分かりました。・・・祖父と伯父にも連絡します』

『ウソでしょ?今までだってママを助けてくれたじゃないッ、諦めたようなこと言わないでよ・・・!!』

『アリサ、お医者さんは神サマじゃないんだからね』

堪えるように呟いた優二。半泣きの有紗。きっぱり諭した秋生ちゃん。見えてなくても三人の表情が手に取るように。

思い出した?

姿のない隆二の声がエコーする。

ああそうね、やっと思い出したわ。あたし結婚式に出られなかったのよ。前の日に倒れて。
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