初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 えーっ!
 今までそんな素振り、1ミクロンもなかったですけど?

 突然の告白すぎて、どう返事をしたらいいのかわからない。
「でも、本当にどうしてですか? こんな女らしさのカケラもない……」

 室長はかぶりを振った。
「そんなことないよ。君はどんなに忙しくても笑顔を絶やさないし、後輩の面倒見もいいし。とても細やかな気配りができる、素敵な女性じゃないか」

 顔から火を吹きそう。

「えっと、あの……」
 わたしの戸惑いを察して、室長は場を取りなすように言った。

「ごめん、唐突すぎたね。まず食べよっか。せっかくの料理が冷めちゃうから」

「は、はい」
テーブルには色とりどりのタパスや美味しそうに湯気を立てたアヒージョが並んでいる。

 まずは食べて落ちつこう。
 空腹では頭もよく回らない。
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