初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「相変わらず朝から元気だね」
「はい! それだけが取り柄なんで」

 彼女は後輩のなかで一番わたしに懐いている。
 麻央に限らず、これまでの人生、男子より女子から熱い眼差しを向けられることが多かった。

 すでに身長が168cmあった中学時代、その身長のせいで半ば強制的にバスケ部に入部。

 でも始めてみたら、バスケは性に合っていたのか、すぐにハマり、関係があるかはわからないが、身長もすくすくと172cmまで伸びた。

 高校生になってからも部活を続け、2年からキャプテンを任されることになり、その頃から、モテ始めた……女子たちに。

 バレンタインともなれば、友チョコではなく、本命チョコを渡されること多数。

「可愛い女子はお前に全部持っていかれる」と男子から文句を言われつづけ、いざ、自分がチョコを渡したい相手ができても、自分はそんな柄じゃないという気持ちが先に立って渡せずじまいに終わり……中高合わせて、お付き合いした男子は皆無。

 思えばまったく彩りに欠ける青春時代だった。
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