初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「よくわからないんです。自分でも。あまりにも長く一緒に居すぎたから」

「君と都築のあいだに友情以上の何かが存在してるのは、僕も気づいてる。でも、君たちは付き合ってるわけじゃないんだし、僕が君を好きになっても悪いことは何もないだろう? できれば『よくわからない』で終わらせないで、自分の気持ちに正面から向き合ってほしい」

「……わかりました」
「真剣に考えて出した答えなら、すべて受け入れるから」
「はい……」

 それにしても。
 まさか、いきなり告白されるとは。
 青天の霹靂とはこのことだ。

 そのあとは、そのまま上の空で食事を済ませた。
 頭がボーっとして、どんな会話を交わしたかも、よく覚えていない。

 室長と別れ、電車にゆられながら、とにかく必死に頭を働かせた。
 
 うーん。

 佐藤室長は、容姿も能力も人格も超一流で非の打ち所がない人。
 こんなふうに迷うことですらおこがましい、わたしにはもったいなさすぎる申し出だ。
 
 なのに、こうして二の足を踏んでいる。

 そして、今も心を占めているのは、やっぱり都築の顔だった。 
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