初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜

第3章 出会い

 都築とはじめて言葉を交わしたのは、東都服飾専門学校1年の文化祭直後のこと。
 
 当時、彼はクチュール専攻で、わたしはプロダクト・デザイン専攻。
 専攻が違ったので、それまで接点はなかった。
 
 ただ、わたしは一方的に都築を知っていた。
 いや、おそらく彼を知らない1年女子はいなかっただろう。
 
 何しろ、入学式の日から明らかに目立つ存在だったから。
 
 190cmはありそうな長身にチャコール・グレーのスーツをまとった、モデルと見まがうその姿は、同い年とは思えないほど大人びていた。

 その姿に心を奪われなかったといえば、嘘になる。
 たまに校内で見かけると、遠くから目で追ったりもしていた。

 クラスの子たちによれば、都築は先生方の間でも「数十年に一度の逸材」と目されているそうで……
 
 とにかく、わたしにとってあまりに遠い存在だったから、親しく言葉を交わすようになるとは、これっぽっちも思ってなかった。

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