初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「久保あきとしって、このクラス?」

 風の冷たい朝だった。
 ホームルーム教室の前で、頭ひとつ分背の高い男子に声をかけられた。

 見上げて驚く。

 うわっ、都築くんじゃない⁉︎

 えっ、なんで?

 しかもよりによって、こんな風の強い朝に。
 前髪が乱れまくってるし、たぶん鼻の頭も赤いはず。

 内心ではドキドキしまくっていたけれど、なんとか顔に出さないようにして、わたしは答えた。

「久保ならわたしだけど、なんか用?」

 都築は上から下へと視線を動かした。
 そして、ちょっと首をひねった。

「お前が久保? 女だよな? それとも男?」
< 23 / 87 >

この作品をシェア

pagetop