初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 うーん。
 わたしは彼の姿をじっと見つめて考えた。

 なんて自信家、なんて強引。
 こんな人、初めて。

 でも、この人に認められて、誘われるって……よく考えたらすごいことだよね。

 そうだよ。
 こんなチャンスをみすみす逃したら、後で後悔するのは必至だ。

「うん、じゃあ……わかった」
 そう言うやいなや、都築の表情はパッと輝いた。

「で、でも自信ないから、明日までにラフ描いてくる。それ見てから都築くんが判断してよ。本当にわたしでいいかどうか」

 その返事に満足したようで、都築は親しげに目を細めて頷いた。

 そんな顔されちゃうと、今まで驚きが勝って引っ込んでいたドキドキが再燃して困る。

「いいよ。それで。じゃ、これ渡しとく」
 都築はクロッキー帳を手渡した。
「あと、メルアド教えて」
「うん」

 そして、授業が始まる直前、彼から早速メールが届いた。

 ――ラフ、楽しみにしてるからな!

 ふーん。すぐにメール送ってきてくれるなんて、ちょっと意外。
 本当の本気ってことなのか……

「朱利、何、にやけてんの?」
 隣の席の友だちに言われ、わたしはあわてて携帯をしまった。  
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