初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 カフェの前で別れてすぐ、ふと都築のほうに目をやると、ちょうど背の低い女の子が走り寄ってくるところだった。


 ペアリング、ビンゴだ……


 背中の真ん中あたりまで伸びた、長い薄茶色の髪が風になびき、優しげなパステルカラーのスカートもふわふわとゆれている。
 わたしとは正反対の、子犬みたいに小さくて可愛らしい子だった。

 ふーん、意外。
 都築の彼女なら、きっとモデルみたいにスタイル抜群の美女だろうと勝手に想像していた。

「ねえ、匡ちゃん……」

 風に乗って、彼女の声がかすかに聞こえてくる。
 都築の腕を引っ張って、何か一生懸命語りかけている。

 彼も柔らかい表情を浮かべて彼女を見つめていて……

 うわ、どう見てもラブラブカップルじゃん。

 まあ、でも、都築と出会ってすぐに、ふたりの仲睦まじい姿を見ることができてよかった。

 わたしが都築に、本格的にハマってしまう前に。
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