初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 その日から3日、授業を休んでほぼ1日中スパンコールやビーズと格闘した。

 服飾の専門に入ったぐらいだから、細かい作業は好きなほうだったけど、好きとか嫌いとか、そんな生優しいもんじゃなかった。

 どれだけ縫いつけても、ケースの中のビーズやスパンコールは、まったく減る気配を見せない。
 食べても食べても減らないふやけたラーメンみたいに。

 土日も昼夜問わず格闘し、さすがにふたりともダウン寸前。

 それで、コンペ前日は、作業の途中で寝てしまわないようにお互いを監視するため、都築の部屋で一緒に作業することになった。

 都築の下宿は、わたしの家から、電車で一駅で意外に近かった。

 男子の部屋にふたりきり、というシチュエーションは生まれてはじめてだったし、彼女に悪いんじゃないかなと、チラッと頭をよぎったけれど。

 でも、とにかく、翌日までに作品を完成させなければという焦りで、そこらへんのことに構っている余裕はなかった。

 だいぶ減ったとはいえ、明日までにまだこれまでの4分の1ぐらいの数を縫い付けなければならない。
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