初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 駅で待ち合わせて、案内された都築の下宿の部屋に入って荷物を置くと、すぐさま作業を開始した。

 2時間ほど黙々とこなしたあと、ちょっと休憩しようと、都築がコーヒーを入れてくれた。

「だいぶ目途が立ったな」
「でもまだまだあるよ。間に合うかな」

 都築はわたしのおでこをつんとつついた。
「間に合うかな、じゃなくて、間に合わせるの」
「へいへい」

 短い休憩ののち、ふたりでまたちくちくを再開した。

 夕飯はカップ麺。
 ものの10分で食事終了。

 食後もひたすらちくちく。

「あー、もう無理」
 日付が変わるころ、わたしは限界に見舞われた。

「ちょっと寝ろよ。ベッド使ってもいいぞ」
「ごめん、悪いけどそうさせて」
 本当にダウン寸前だった。

 好意に甘えてベッドに横たわり、目を閉じる前に何の気なしに都築のほうを向いた。

 ほのぐらい灯りに浮かび上がる、都築の背中をぼーっとした頭で眺めているうちに、心がざわついてきた。

 こんなに肩幅広いんだ、都築って……
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