初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 でも、寝不足の頭はあまりにも無防備で、そんなバリケードはあっけなく崩壊してしまった。

 わたしは寝返りを打ち、改めてぎゅっと目を閉じた。
 これ以上見ていたら、衝動的にその背に顔を埋めてしまいそうだった。

 そんな悶々とした気持ちを抱えて眠れるはずがないと思っていた。

 でも、連日の寝不足は限界まで来ていたらしく、知らないうちにわたしは眠りについていた。

 目覚めたとき、もうすでに外は明るかった。

 なんか、狭い……
 目を開けると、真横に無精ひげが生えた都築の寝顔が。
 
 へっ?
「うわっ」

 あわてて跳ね起きて、都築の頭を思い切りどつきそうになった。
 ベッドが大きく揺れ、熟睡していた都築も目を覚ました。

「うーん、おはよう……」
「な、なんでそんなとこにいるの」

「なんでって、ベッドひとつしかないし……お前、細いからふたりでも平気だと思って」

「だ、だって」
 たしかにここは都築の部屋だから文句を言う筋合いはない。

 でも、都築への気持ちを意識してしまった今、この状況にはとても耐えられない。
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