初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
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コンペの結果は奨励賞だった。
短い制作期間や1年生であるハンデを考えると、それだけでも充分な評価だったが、グランプリ一択狙いだった都築は落ち込んだ。
「来年、絶対リベンジしてやる」
「えー、来年もやる気?」
「何、言ってんだよ。来年もお前と組んで、今度こそグランプリだ」
「勘弁して。ひとりでやってよ。もう無理」
「いや、俺1人より、お前と一緒のほうが何倍もすごいもんができる気がするし。なんかさ……」
都築のまなざしはとても真剣で、口調もいつもの軽いものとは一線を画していた。
「他の人間と組むなんて考えられない。久保と仕事すんの、スゲー楽なんだよな。痒いとこに手が届くっていうか、くどくど説明しなくても、お前、俺の意図わかってくれるから」
都築の唇から発されたその言葉。
泣き出してしまいそうなほど嬉しかった。
でも、同時に叫び出してしまいそうなほど苦しかった。
あと1年半も、友人のふりを続けるのは拷問に等しいと。
でも……
最後には彼の望み通り、首を縦に振ってしまうこともわかっていた。
たとえ、胸が張り裂けるほど苦しくても、彼のそばにいたかったから。