初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 そうやって、わたし自身はなんとか精神的に距離をおこうとしてはいたけれど、そんな抵抗もむなしく、日を追うごとに都築とわたしは親しさを増していった。

 一言で言えば、ウマがあったのだ、彼とは。

 口ゲンカは絶えなかったけれど、裏を返せば、それはなんでも言い合える証拠で、これほど、まったく気を使わずにいられる友達は、女子のなかにもいなかった。

 平日、休日を問わず、頻繁にコンペの打ち合わせと称して話しこんだ。

 パリコレのこと、映画のこと、将来のこと……いつまでも話題が尽きることはなかった。

 都築はつねにわたしの一歩先を行っていた。

 デザインに対する姿勢、考え、才能。
 勉強になることばかりだった。 

 でもあまりにも一緒にいることが多くなって、わたしは逆に心配になった。

「最近、ちゃんとユキちゃんとデートしてる? 打ち合わせで会うの、平日だけのほうが良くない?」

  都築は「いや、別に大丈夫。お前と話すの面白れぇし」というだけで、とくに態度を変えようとはしない。
< 40 / 87 >

この作品をシェア

pagetop