初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 そりゃ、わたしだって、都築といるのは楽しいけど。

 でも、ユキちゃん、ほんとに文句言わないのかな。

 自分の彼氏が、たとえ“見た目ほぼ男子”とはいえ、異性の友だちを作ったら面白くないに決まっている。

 自分でも不思議なのだが、いい子ぶっている訳じゃなく本心からふたりの仲を裂こうという気持ちはなかった。
 
 というか、ユキちゃんタイプを彼女にしている都築が、こんなガサツで男みたいな女を好きになるはずがないと、信じて疑わなかった。
 
 都築に限らず、自分が男子に好かれるなんてありえないという考えが長年、脳にこびりついていた。

 そうやって、人知れず涙ぐましい努力と諦めを重ね、少しずつ都築をただの友達だと思えるようになってきたとき。

 あろうことか、当の都築が、また、わたしの恋心に火をつけた。

 それは2年生のコンペの日、20歳のクリスマスイブの夜のことだった。
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