初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 「ここなら登れそうだ」

 裏口横の、ちょうど都築の肩ぐらいの高さの、低いフェンスの前まで来た。
 先に都築が登って、降り……というより落ちる。お尻で着地したらしい。

「っう……」
「だいじょーぶ?」
 
 そう言いながらも、笑いが込み上げてくる。
 くっくっ。
 腰さすってるし。

「ああ、ちょっとよろけただけ。ほら、掴まれよ」
「うん」
 塀に登って、都築の手を握ってジャンプして降りた。


 そのまま、手をつないだままで、校舎の裏側にある中庭を目指した。
 
 都築と手をつなぐなんて考えられなかったけど、酔ってることを言い訳にそのままつないでいた。

「こんだけ暗いと、ここが学校とは思えないね」

 中庭は建物に囲まれており、街のネオンや車のライトやビルの照明などから隔絶されていて、月だけが嘘みたいに明るく光っていた。

「うわー、けっこう見えるんだ、星……」
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