初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「お前、よく見ると可愛い顔してんのな」
「な、何言ってんの? 目まで酔っ払ってるんじゃない?」

 もういたたまれないよ。こんなことされたら。

 雷に打たれたみたいに心臓がビリビリ痺れて気を失いそう。

 そう……
 この1年余り、こんなシーンをどれほど夢見てきたか。

 そして、いつも目が覚めると現実とのギャップに虚しさを覚えて……

 これは夢じゃないけど都築の真意がつかめない。

 もしかして彼女と間違えてる?
 でも……そんなふうでもないし。

 酔いと疑問で頭が沸騰してしまいそうなわたしに、都築はトドメの一言を放った。

「なあ、キスしていい?」

 キ、キス⁉︎
 頭が真っ白になった。

 白状すれば……
 自分でも頭がおかしいんじゃないかと思うほど、望んでいた。

 都築とキスしたいって。
 出会ってからずっと。

 でも、だから余計に酔った勢いでするのは嫌だった。

 だって……

 わたしにとっては……
 大切なファースト・キスなんだから、これは。

 相手が正気かどうかわからないままするなんて、嫌だ。
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