初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 彼は頭を斜めに傾げ、わたしの首筋に唇を這わせながら、そっと歯を立てた。

 わたしがびくっと体をこわばらせると、ふっと笑みをこぼした。

「跡、つけられるかと思った?」
「うん、少し驚いた」

 彼は額と額を合わせて、焦点が合わないほどの近さでわたしに囁く。
 
「見せびらかしたい気もあるけどね、朱利は僕のものだって」

 都築に、と言われるのかと思ったけれど、彼は何も言わずに、またわたしの唇を味わいはじめた。

「永遠にこうして朱利と戯れていたいよ」

 また、唇が合わさり、不埒な手が首筋から鎖骨、胸へと辿り、わたしの敏感な部分を探る。

 セーターの上から胸の先を爪で引っ掻くようにされ、わたしは思わず声を漏らす。

「あ、ん」
「会社の連中は知らないんだな。朱利がこんな可愛い声で鳴くなんて」

 彼の手はますます容赦なく、わたしを苛みはじめる。

「やん、あ、千隼さん」
「愛してるよ、朱利」
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