初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「とにかく考えといて。一緒に行こうや。俺も久しぶりにお前とゆっくり話もしたいしさ。じゃ」と言い残して去っていった。

 どうしよう。
 行けないことはないけど……

 コンペ、そして24日……

 嫌でも気持ちはまた、7年前のあの夜に引き戻されるに決まってるではないか。

 これ以上思い出に振り回されたくない、というのが正直な今の気持ちだった。

 断ろう。そのほうがいい。


 でも、返事ができないまま、3日経った。
 その日は忘年会だった。

 うちの社屋の1階はワンフロアになっていて、小学校の体育館の半分ほどの広さがある。

 普段はショールームとして使っているけれど、年に3、4回は、パーティー会場と化す。

 部屋の真ん中には高さ2メートルほどのクリスマス・ツリーが飾られ、忘年会というよりは早目のクリスマス・パーティーといった雰囲気だ。
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