初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 ビールを渡して、しばらく4人で話していると、「都築さーん」とデザイン室の子たちが声をかけてきた。

「なんか呼ばれてるから行くわ」

 その別れ際、都築は言った。
「じゃあ、久保、24日空けとけよ」

「だからまだわかんないって」

 そう言ったけれど、わたしの返事は無視して、都築はさっさと呼ばれたほうに歩いていった。

「24日って?」
 千隼さんに訊かれる。

「あの、卒業した専門学校のコンペがあって。都築が審査員をするそうなんですけど、わたしも呼ばれているらしくて」

「そう、なんだ……」

 まずかったかな、さすがに24日は。
 あとでちゃんと話さなきゃ。
 
 それから2時間ほど経ち、お開きの時間になった。
 社長の挨拶の最中、わたしの携帯に電話がかかってきた。
 
 イタリアで開催されている生地の展示会に行っている同僚からだった。

「久保? 良かった。会社の電話、誰も出ないから」
「今日、忘年会」

「あっ、そっか。今、会社だよな。ちょっと確認してほしいことがあって」
「うん、わかった。こっちからかけなおす」

 締めの一本で盛り上がっている会場を離れ、わたしはオフィスに急いだ。
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