初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 確認に手間取り、結局解決に30分ぐらいかかった。

 そのあいだにみんな着替えをすませ、2次会に向かう準備を整えていた。

 一足遅れて衣装を脱ぎ、洗面所でメイクを落としてオフィスに戻ると、残っているのは千隼さんだけだった。

「あれ、みんなは?」
「先に二次会に行かせた。用事を済ませ方々、久保と一緒に合流するって言っておいたよ」

「だいぶお待たせしました?」
「いや、そうでもない」 
「じゃあ、行きましょうか。みんな待ってるでしょうし」

 わたしは先に立ってドアのほうに向かい、電灯のスイッチを切った。

 彼が後ろに立つ気配を感じたとたん、背中から肩を掴まれた。

「朱利」
 振りむくと、そのまま壁に押し付けられ、強引に唇を奪われた。

 手にしていたバッグが床に落ち、大きな音を立てる。
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