初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「誰に惚れようが自由だけど。恋愛にうつつを抜かして仕事をおろそかにしないでよ」
「へーい」
「ほんとにわかってんだか……」

「でも、朱利先輩ずるいなあ。都築さんとは仲いいし、室長には可愛がられてるし……男運サイコーじゃないですか」
「うーん、でも肝心な彼氏には恵まれてないからねぇ」

 何しろ、ここ6年、ずっとフリー。
 入社2年目、販売員をしていたころ知り合った大学生と付き合ってみたけれど、3か月で自然消滅。

 以来、恋愛とは縁遠い生活を送り続けていた。

 それが何故なのか。
 実は、心当たりはありすぎるほどある。

「ガード固すぎるんですよ、先輩。それか、いい男に囲まれすぎてる弊害かも。他の人がくすんで見えちゃうとか」

 そう。佐藤室長と女子人気を二分しているのが、この都築だ。

「ねえ、朱利先輩って、ほんとに都築さんと1回もやっちゃったこと、ないんですか?」
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