初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 校長室前のケースにわたしたちの作品が展示されていると聞き、行ってみる。

 審査員全員一致でグランプリを獲得したのは、開校以来2組だけだったそうだ。
 そのうちの1組が、このわたしたちの作品だった。

「今見ると、あんまりぱっとしねえな。もうちょっとマシだと思ってたけど」

 金糸をふんだんに用いたウェディング・ドレス。
 1年目は月だったから2年目は太陽をテーマにしたんだ。そういえば。
 
 わたしはとてつもなく長い8メートルのヴェール担当で、これに刺繍するのが、もう筆舌に尽くしがたいほど大変で……
 都築と作業に明け暮れた日々の記憶が胸いっぱいに満ちてくる。


 コンペは盛況のうちに幕を下ろした。
 若さを全面に出したエネルギッシュな20組の作品は予想していたよりずっと見ごたえがあった。

 普段扱っている既成品とは違い、学生らしい未完成さがとても愛しかった。
 
 別室での審査を終え、審査員一同そろって登壇した。

 講堂を埋めつくした学生たちの熱い眼差しに気圧される。
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