初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
 あれが一方的な幻想だったのか、それとも本当のことだったのか。

 その疑問が解けなかったからこそ、いつもそこで立ち止まってしまっていたのだ。

 今なら聞ける。
 あのときの、都築の気持ちを。
 というか、チャンスは今しかない。

「都築……あのさ」

「ん?」
 でも、いざとなると、どう話を切り出したらいいのかわからなくなってしまった。

 なんの心の準備もしていない。

 都築の返事を聞いてどうするのか。
 千隼さんとのことを、どうするのか……

 なかなか話を切り出せないでいるわたしよりも先に、都築が口を開いた。

「お前、佐藤さんと付き合ってるんだって?」
 
 予想していなかった言葉に驚き、わたしは思わず都築の顔を見た。

「なんで知ってるの?」

「佐藤さんから聞いた。で、そのとき、言われたんだ。もういい加減、7年前の呪縛から久保を解放してやれって」

 千隼さんがそんなことを。
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