初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「見てらんないんだって。佐藤さんと付き合うことでお前が悩んでるのを。で、できるなら、お前が久保の気持ちを受け止めてやってくれって言われた」

「彼が……そう言ったの?」

「ああ、心底お前に惚れてんだな、あの人。自分のことより、お前の幸せのほうが大事だって、そう言ってたよ」

 都築はベンチの背に身体を預け、空を見上げた。

 わたしは前を向いたまま、話し始めた。
「最初から彼、わたしが都築のことを想っててもいいって言ってくれて」

「すげーな。とてもじゃねえけど、俺はそんなこと言えねーわ」

「でも、内心、そのことで我慢しているみたいで。だからわたしもちゃんとしなきゃと思ってた。彼と続けるにしろ、別れるにしろ、このままじゃだめだなって」

「今さらだけど……さ」

 都築はわたしのほうを向き、少し躊躇ってから言葉を続けた。

「7年前、本気だったよ、俺」
 わたしの目を見つめながら、一言ずつ、確かめるように口にした。 

「本気って……」
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