初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「ないない。天地神明に誓ってない」
「でも、専門学校時代からの知り合いなんでしょ」

「うん。まさか、就職先まで一緒になるとは思ってなかったけどね。腐れ縁ってやつかな」
「そんな腐れ縁、羨ましいすぎますって。でも、よくあんなテストテロン全開のイケダンと、長い間、清い関係でいられますよね」

 おのれは盛りのついた雌ネコかと、どついてやろうかとも思ったけど、まともに受け取るのも大人げないのでやめておいた。

「都築に言ったら大笑いされるよ。わたし、女と思われてないから」

「でも、『わたしたち、ただの友だちですから』とか言ってるふたりが、突然付き合いだしたりするのが世の常ですけど……」

「ないって。第一、奴にはパートナーがいるし。それに都築のタイプはわたしと真逆の、女子力高い系だから」

「じゃ、わたし、いけます?」
「うーん、ま、わたしよりは可能性あるかもね」

「ほんとですかぁ? じゃ、アプローチしてみようかな。先輩、後から文句はなしですよ」
「どうぞご勝手に、ってわたしが許可出すことじゃないし」
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